ラジエーションハウスと現実の放射線技師の仕事はどう違う。リアル放射線技師の感想・解説

2019年4月から放送されたテレビドラマ『ラジエーションハウス』は、放射線技師が主人公の医療系ドラマになります。主人公は医師免許があるにもかかわらず、診療放射線技師として働いているという不思議な構造になっています。

放射線技師が主人公のドラマは日本では初めて放射線技師の中でも話題となり、日本放射線技師会でも大きく話題として取り上げていました。またドラマ放送後は、放射線技師の募集やポスターにラジエーションハウスの絵や写真を使用する例がかなり増えました。放射線技師の中でもかなり印象に残った作品の一つでしょう。

そんなラジエーションハウスでは、実際の放射線技師の臨床現場での仕事ではあり得ないようなことも描出されていました。

そんなラジエーションハウスとリアル放射線技師の違いを今回は解説していきます。

ドラマと現実

ラジエーションハウスとリアル放射線技師の現場では、多くの違うことや疑問に思うことがたくさんあります。

医師の資格を持つ放射線技師

放射線技師として働く人は、医師免許を持つ放射線技師とゆう根本から疑問に持つことでしょう。現実には、医師免許を持ち放射線技師として働く人はいません。確かに医師免許さえ持っていれば人体に対して放射線を照射することは可能です。

ラジエーションハウスは医師をメインにしたドラマではなく『放射線技師』をメインにしたというのは斬新で新鮮です。しかし理解できないことは、主人公の五十嵐は医師免許を所持しているにも関わらず、『放射線技師』として就職しています。

給与や待遇面を考慮すると放射線技師として就職する人は皆無でしょう。ドラマでは、恋愛を理由に放射線技師をしているとゆう理由でしたが、その理由すら理解が難しいです。それほど放射線技師と医師には大きな違いがあります

医師の指示なく検査

CTやMRIなどの検査は医師の指示がなければ、検査することはできません。つまり放射線技師単独の考えで勝手に検査することはできないのです。放射線技師は検査のスペシャリストではありますが、検査を自分で追加したりは原則できないのです。

放射線科医師の意見を無視

放射線技師はどんなことがあろうと放射線科医師より立場が上になることはありません。

放射線技師も読影の補助はすることがありますが、基本的には補助にすぎません。つまり放射線技師は強く放射線科医師に意見することはありません。

死亡原因などを患者に説明

死亡原因を放射線技師が患者遺族に説明する描写もありますが、現実ではありえません。実際にそんなことをすれば放射線科医師や他の医師は激怒することでしょう。死後画像診断　（Ai：Autopsy imaging）をすることはありますが、基本的には診断は放射線科医師に全てを任せます。

全てのモダリティを網羅する放射線技師はいない

全てのモダリティを網羅する放射線技師はいません。ここでの網羅とゆうのは、完璧に検査をこなし、読影までできることです。基本的に大きな病院でも放射線技師はある程度は、メインのモダリティ(CT•MRIなど)を持ちそこに特化した形で勉強していきます。全てのモダリティを検査できて、読影できる放射線技師は存在しません。

ひとりの患者さんに長く関わる

ラジエーションハウスでは、ひとりの患者さんと長く関わり感情移入する描写がありました。しかし実際には感情移入する機会もほとんどありません。また患者さんと接する時間もかなり短いため、長い期間関わることはほとんどありません。患者さんの顔を覚えることがないほど、関わりも短く患者さんも放射線技師の顔は基本覚えていません。

ドラマが気になる方はこちらをチェック⇨（ラジエーションハウス）

放射線技師と医師の恋愛

放射線技師と医師の恋愛については、可能性は高くないですがあり得ることになります。実際に私の周りにも放射線技師と医師の結婚や恋愛はあります。やはり医師と恋愛をする放射線技師は、イケメンや美女であることが多いです。また医師に限らず、男性の放射線技師は病院内では数少ない男性になりますので比較的モテる人が多い職種です。

CT室やMRI室など密室での会話も多く親しみやすい医師であれば恋愛関係になることもあるでしょう。深く関わり合うのは、放射線科医師や脳外科医師・外科医師や整形外科医師などが多く深い関係になりやすいです。

画像診断は放射線科医師

放射線技師も画像を見て結果を考察・読影することもあります。しかし放射線技師の仕事のメインは検査をすることにあります。医師の指示のもと検査を正確・確実に行うことです。ドラマでは放射線技師が画像診断7割、検査3割ほどの感じがありますが現実では、画像診断2割、検査8割と

ほとんど検査をメインに考え業務をしています。放射線技師が画像診断をすることはほとんどありません。医師に画像診断は全てお任せとゆう放射線技師が大多数です。

画像診断がしたくても知識や経験不足でできないことが多くあります。また検査のコツや特殊で複雑な検査方法の習得や検査方法を学ぶことが多く画像診断まで手が回っていないこともあります。しかし画像はしっかり読めた放射線技師の方が信頼度は高くなります

まとめ

ラジエーションハウスと現実の放射線技師との違いを紹介してきました。放射線技師がドラマを見て疑問に思うことや違うと感じることは多くあります。しかしドラマはとても面白く見やすいドラマになっているので、それはそれでいいのかなと感じます。

放射線技師は画像診断は基本的に行いませんが、放射線科医師と連携して業務をする職業です。ドラマの放送により注目度があがり、放射線技師として働く人口が増えチーム医療として今後も活躍することでしょう。